湿地帯
7月半ば、天気の良い夏の週末はあちこちで催し物が行われています。大掛かりなフェスティバルから庭先のガレージセールまで、人々が最も活動的になる時期なのでしょう。この人たちは「赤ん坊売ります」という張り紙を出していました。もちろん「赤ん坊用品のガレージセール」という意味なのですけれど、つい「あんまりうるさくないのを一つください」と言ってみたくなります。
今日は地元の大学の近くにある大きな自然公園に行きました。今日の目的地は公園の一角にある湿地帯です。湿地帯というのは生態学的にとても豊かな場所なのだそうです。植物の種類も多くて、鳥もたくさんいます。でも虫もたくさんいるし、じめじめしているし、少なくとも都会の近代的な暮らしにとってはあんまり役に立つ土地ではありません。そのため、バンクーバーの湿地帯はゴミの埋立地になったりして、相当に破壊されました。ここもそうなっていたので、ボランティアの市民団体が10年以上前から再生のための活動をしています。 森の中の道を湿地帯まで歩きます。途中にオオバカエデがありました。そのまんま、大きい葉っぱのカエデです。メープルシロップの原料になる樹液が採れるのは砂糖カエデという種類で、葉っぱはもっと小さいです。 森の空。 湿地帯の入り口に着きました。 凶暴なフクロウがいるから気をつけろ、という張り紙がありました。頭上から襲ってきて、50メートルくらい追っかけたりするそうです。おお、それは怖い。。。トラウマになって鳥恐怖症になりそうです。 木道を歩きます。ここはひどく傷ついたのを復旧している途中の自然環境なので、木道から離れて歩くことはできません。 着きました。思ったより小さな湿地帯です。真ん中辺りにごく小さな池があります。湿地帯というのは、もともとは大きな池だったのがだんだん干上がって、木が生えてきてやがて乾燥した土地になる、という運命にあります。このサイクルの進行を遅らせようとして、木が生えてきたら引っこ抜く、という作業が続けられています。 湿地帯の一生を描いた看板。この湿地帯は環境教育の一環として市内の多くの学校が利用しています。 湿地帯の復旧に多大な貢献をしているボランティアの人々の努力を讃える小さな看板。 今日はたまたま土曜日だったのですが、毎週土曜日の朝10時頃からがボランティアの活動時間だそうです。私に声を掛けてくださったおじいさんは、「11時からはお茶の時間でね、これがとても大事なんだ。あんたもぜひおいで」と力説なさいました。気になる。。。お茶だけ飲みに行ったらどうなるでしょう。都会で自然環境の保護のために無償で活動を続ける有志の皆さんが、労働の途中にお茶を飲みながら和気あいあいと歓談している様子が目に浮かぶようです。生涯のお友達ができたりするかもしれません。 今日お会いしたのはおじいさんたちばかりでした。D君によれば、どの人もスコットランド出身だそうです。そういわれてみれば皆言葉が訛っていたような。。。スコットランド人の移民は湿地が好きなのでしょうか。謎の解明のためにも、そのうち土曜日の朝バケツを持って出かけるべきかもしれません。 草むしりをしていたおじいさんは、もっとずっと北の方に生えるクラウドベリーという珍しい草が生えていることを教えてくださいました。気候が合わないので、実はほとんどついていないそうですけど。 「ここは修復した場所です。植えた草が育つように、木道を離れず、犬は繋いで歩いてください」と書いてあります。草というか背の低い潅木ですけど、植えたのがちゃんと定着してその区域が完全に安定するには少なくとも3年はかかるそうです。 フレンドリーなボランティアのおじいさんとお喋りしているD君。 市内にあってバスで簡単に行ける場所なので、週末の今日は見学者(?)もたくさんいました。ボランティアの人たちは誰にでもフレンドリーで、いろんな説明をしていました。喋ってばかりいないで草をむしりなさい、と思いますが、こうやって人々と交流して教えるのも彼らの大きな仕事のうちなのでしょう。 ここには、珍しい青いハックルベリーがたくさん生えています。「青いのがある!」と喜んでいたら、おじいさんが「採りなさい、採りなさい。今しかないよ」と勧めてくださいました。もちろん、手の届く範囲で、という条件付ですけど。 そういうわけで、本日の収穫。酸っぱいのですが、ベリーは味そのものよりも「あった!こんな味がするのか」という側面の方が私には大切なのです。 これは何だかとても香りの良いラブラドールという潅木です。この葉っぱでハーブティーを作ると、何となく松っぽいような、しかし甘みを抑えた花の匂いのような、エレガントなお茶になります。 これはバンチベリーという草です。前から一度会いたいと思っていたら、こんなところにいたのね。。。 D君が手の届くところの実を一塊採ろうとしたら、葉っぱも一緒に取れてしまいました。ごめんなさい。これは食べられるベリーなのです。喜んで味見してみたら、どうも食べるところがありません。中には小粒の実に似合わず大きな種が入っていて、皮は食べられますが、種を多く果肉はパパイヤの種を覆う皮膜のように弾力があり、なかなか離れません。うっすら甘くてそれなりにおいしい、ということが分かっただけで満足しました。また食べることはないかもしれませんけど。
by ammolitering3
| 2010-07-18 12:24
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