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ユースマニュアル 第2章 前半

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第2章 世代を超えて年長者(専門家)から学ぶ

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ケース・スタディー:再生産可能なデザイン・アイディア・フェア。プリンス・オブ・ウェールズ・セカンダリー・スクール、バンクーバー市、2009年4月2日

「生徒の声」

「お集まり頂いた皆様の中には、今夜の集まりの目的が全く理解しかねると思っておいでの方もいらっしゃることでしょう。学校が深刻な資金不足で苦しんでいるときに、なぜアイディア・フェアなど開催するのでしょうか。馬鹿げているのではないでしょうか。しかし、バンクーバー教育委員会は、北米で最も持続可能な学校地区となることを目指しています。どこかで行動を始めなければ目標に至ることはありません。ですから、私たちは今ここから始めるのです。」

「持続可能なデザイン・アイディア・フェア」の開会の言葉。プリンス・オブ・ウェールズ・セカンダリー・スクールの生物学科生徒、キーラン・リー。(2009年4月2日。)

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共同作業
1、スタンレー・キング氏の希望は、「壁の街」プログラムを課題として使うことによって都市計画の過程に若者の参加を図ることでした。「壁の街」プログラムは、200を越える計画の場において子供たちの参加のために使われました。その中には、以下のような大規模な都市プロジェクトが含まれます:バンクーバー市のロブソン広場、グランビル・アイランド、フォールス・クリーク南部と南東部、ヘイスティングス公園(PNE)、ビクトリア市のジェームズ湾、カルガリー市のオリンピック・プラザ、メモリアル通り、都市部の公園、州立公園、国立公園、およびアルバータ州とブリティッシュ・コロンビア州各地の都市および小さな町。プログラムの過程はカナダ映画庁によって作成された映画に記録されています。「チェアズ・フォー・ラバーズ(恋人たちの椅子)」(1973)キング氏は、年長の生徒たちがプログラムを実行するためのエクササイズで、当校の生徒たちに直接トレーニングを施しました。

2、グリーン・ブリックス教育協会のダイアナ・クライン氏並びにフィオナ・ザワツキー氏の希望は、若者たちに持続可能なデザインの趣旨を教えることでした。また、彼らがひるがえって自分たちの両親に持続性を提示してくれることも望んでいました。両氏は持続性に関するテンポが速くて学ぶところの多いワークショップを開き、当校の生徒たちに持続可能なデザインの趣旨について教えました。彼らは資金をやり繰りし、フェアには来賓として市の関係者も手配してくれました。

3、当校の教師であるスーザン・エン・チャンは、年長者(あるいはその道の専門家)から何かを教わるというシステムによって生徒たちが学習に積極的に参加するようになるということに気がつきました。チャンがコーディネートした「持続可能なデザイン・アイディア・フェア」は、生徒たちがエコロジー的な暮らしについて考えるようにすることを目的としています。教科書を超えたエコロジーを教えることを望んだチャンは、生徒たちに自分の一日の暮らしと活動を振り返って、それが地域と地球のエコロジーにどんな影響を与えているかを観察するように促しました。

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左上から時計回りに
生徒たちに教えるダイアナ・クライン
スーザン・エン・チャンとスタンレー・キング
持続可能な学校のデザイン、細部

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世代を超えて年長者(専門家)から学ぶ
地域社会の年長者(専門家)から、年長の生徒たちへ、そして年少の生徒たちへ。
すべての生徒たちが自分たちのアイディアを伝える:保護者、地域社会、世界へ。
伝えるのは、それはあなたです。


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必要なもの
「ユース・マニュアル」の第1章「壁の街」エクササイズ
年長の生徒たちのグループ(だいたい14歳かそれ以上)
年少の生徒たちのグループ(8歳から13歳くらい)
訪問して研究できる地元の持続可能な場所
(例:有機農場、屋根や壁に植生のある建物、LEED(Leadership in Energy and Environmental Designエネルギーと環境デザインにおけるリーダーシップ )に認定された建物、エネルギー効率の高い太陽熱発電による場所、開拓者の暮らしを見せる歴史村、産業化前の時代の原住民の暮らしを展示する博物館。)

地域の年長者(専門家)の例
*原住民の長老や語り部は、産業化前の持続可能な暮らしについて語ってくれます。
*持続可能なスペースをデザインする建築家、エンジニア、都市計画者、 造園技師
*有機農法を採用している園芸家や農家
*伝統的な保存食の作り方に詳しい高齢者(瓶詰め、漬物など)

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(効果と結果)
教科を超えた繋がり
芸術、デザイン、生物学、地理学、基礎的な科学

年長者(専門家)から学ぶ
年少の生徒たちは年長の生徒たちから世話をしてもらい、注意を払ってもらう。年長の生徒たちはリーダーシップの経験をする。

計画に若者が参加する
変化を作り出す「誰か」の代表者に会うことで、生徒たちが感じる社会からの疎外感を減らす。

(結果)
変化をもたらす者としての若者
生徒たちは、自分たちの周りの作られた環境は変化しうるものであり、自分たちがその変化をもたらす者であることを理解する。

アイディア・フェアの後で、プリンス・オブ・ウェールズ・セカンダリー・スクールの生徒たちは、官僚的な障害を粘り強く乗り越え、すべてのデザインの中でも顕著だった学校菜園というアイディアを実現しました。プリンス・オブ・ウェールズ・セカンダリー・スクールは、2009年度の「グリーン・ブリックス学生の挑戦」賞を獲得しました。

BC州大学の持続可能な建物であるCKチョイ・ビルを訪問する生徒たち。

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(プログラム)
若者たちが持続性について学ぶ
A、教師から(2-3時間)
B、若者たちが持続可能なデザインについて図書館でのリサーチプロジェクトを準備する。

若者たちが地域の年長者(専門家)を訪ね、持続可能な暮らしについて学ぶ
A.地域の年長者(専門家)を教室に招いて話をしてもらう(1時間)
B.地域の年長者(専門家)に率いられて持続可能な場所を訪れる(見学)

年長の生徒たちを進行係としてトレーニングする(ユースマニュアル)(1時間)

若者たちがデザイン・ワークショップとデザイン・フェアを企画・開催する
A.年長の生徒たちが年少の生徒たちに教える(3-4時間)
B、年長および年少の生徒たちが教師と共にアイディア・フェアを開き、地域の人々にプロジェクトや描画を見せる(一晩)

準備
*地域の年長者(専門家)に連絡し、学校を訪問してくれる日時を決めます。この訪問の目的は持続可能な暮らしについて語り合うことです。
*持続可能な場所への訪問を企画します。
*年長および年少の生徒たちのグループのリーダーがプロジェクトの進行とデザイン・フェアの企画について会議を開きます。

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(若者たちが持続性について学ぶ)
課題:持続性とは何か?エコロジー的な視点(1時間)
このレッスンの目的:このレッスンを通して年長の生徒たちに「人生の一日」エクササイズを導入します。(以下に紹介しています)このレッスンを通じて彼らは自分たちのことを環境に繋がったエコロジー的な生き物であると理解するようになります。のちに、彼らは持続可能な暮らしについて独自のリサーチを行い、学んだことを年少の生徒たちと共有します。

アクティビティー
1、「人生の一日を想像する」および「壁の街」エクササイズの中の持続性に関する対話。
2、エコロジー的なニッチ
3、持続可能な学校におけるPEP(個人的な経験と知覚)

「人生の一日を想像する」エクササイズ(30分)
紙の真ん中に横線を引きます。(約6メートル)おおよそ真ん中の辺りに印をつけ、太陽の動きに合わせた弧を描きます。下図のように時刻を刻みます。

「「理想的な人生の典型的な日」を想像してください。場所は地元、季節はいつでも構いません。普通の日でも、週末でも、特別な日でも構いません。」

それから、デザイン予定地で朝6時から時刻ごとに何をしているかを尋ねます。生徒たちが活動を述べるたびに、その発言を反復し、弧の中に書き込みます。下図のように、彼らのアイディアをおおよそ彼らが提案する通りの時刻に書き込みます。

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必要な活動
心の中で、一日の活動が網羅されたかどうかを確かめます。(必要であれば促します)
• 眠る、休息をとる
• 入浴、トイレ
•食事
•生活必需品の買い物(水、食べ物など)
• 動き回る
• レクレーション
• 仕事
• ゴミ捨て

過去と未来の活動
紙がアイディアでだいたい一杯になったら、生徒たちに次の問いについて考えるように頼みます。

1、「タイムラインに書いた活動の中で、あなたのおじいさんやおばあさんが子供だったころにはできなかったことは何ですか?」
2、「あなたの孫はその活動をしていると思いますか?」
3、「あなたのおじいさんやおばあさんが行っていたことの中で、どの活動が「持続可能」で、どの活動はそうではないと考えられますが?」
4、「ある活動を持続可能なものにするのはどんなことですか?」
5、「持続可能」という言葉は、あなたにとってはどんな意味ですか?」

彼らの答えを聞き、紙に書きます。もし正しい答えが出てこなかった場合には次のように説明します。

「簡単に言うと、自分の住んでいる環境や他の誰かの住んでいる環境を破壊しないで長い間続けることができるなら、その活動は持続可能だ、と言うことができます。ここにあなた方が言った「人生の一日」の活動がありますが、これは持続可能ですか?食べることについて考えてみましょう。近くから食べ物を集めて、食べるものがなくなることがないようにするにはどうしたらいいですか?それから、生ゴミが山ほど溜まっていたらどうしますか?生ゴミはどこに行くでしょうか?あなたの友達がここに住みたがって、自分の別の友人たちも連れてきたらどうしますか?」

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私たちのエコロジー的なニッチ
(訳注:ニッチの定義「ある生物が生態系の中で占める位置。生態的地位。ニッチェ。 」大辞泉 より)

「人生の一日」は私たちの日常の暮らしを代弁するものです。私たちが住むところは環境と呼ばれます。どんな生き物も(クラゲ、蚊、 サナダムシ、熊、蟻、ナメクジ)、その暮らしを通じて、そして環境を知覚することを通して環境と交錯します。どんな生き物であれ、その暮らしと環境をまとめる一言があります。何と言う言葉か、分かる人はいますか?」

「その言葉は「ニッチ」です」
「生き物のエコロジー的なニッチは、それがどこに住むかだけでなく、何をするかにもよる。
分析すれば、生物学的には生息地とは生物の「住所」であり、ニッチとはその「職業」であると言えるだろう。」
「エコロジーの基盤」(オダム著。WBソーンダーズ社、フィラデルフィア1959)

環境を知覚する:話し合い(5分)
「動物は様々な感覚を通して環境を経験します。私たちと動物たちが共通して持っている感覚は何でしょうか?嗅覚、バランス感覚、視覚、触覚、聴覚、動き、これらは他の多くの哺乳類や 脊椎動物と共通して持っています。

私たちは持っていないけれど動物たちは持っている感覚には何がありますか?
磁場の知覚 ー 伝書鳩
紫外線 ー 蜂
足に味覚を感じる器官がある ー ハエ

動物の生涯を形作るのはどんな活動ですか?ヒトデを例にとってみましょう。ヒトデがするだろうと思うことを全部挙げてください。(動き、食べる、エサをとる、逃げる、排泄、、、)ヒトデの個人的な経験と知覚(PEP)の図を描いてみましょう。」

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持続可能なニッチ

イラスト
活動の周辺
視覚:周りに何が見えますか?光は?色は?
(視野の分類)
音:風、声、音楽、車の音など?
味と匂い:食べ物と飲み物、空気?
触覚:空気、陽光、熱さと冷たさ、地面、手触り?
雰囲気:どんな感じの場所?
人々:周りの生き物は?近く?遠く?人は何人?
時間:いつこれをする?どれくらい長く?
動き:行動、移動、どうやってここに来る、どうやって帰る、動き回る、歩く、自転車、バス、または車など?

PEP 3
「個人的な経験と知覚」
スタンレー・キング、コ・デザイン・グループ

「人生の一日」は日常の暮らしの流れを描写する手助けとなる
PEP図で環境を描写する
合わさることでこれらは人のエコロジー的なニッチを定義する

「地上のすべての生命体は必然的に持続可能な暮らしをします。もしもそうしないのであれば破滅的な結果が訪れるからです。私たちの都会的な現代の暮らしが、私たちの現在のニッチが、持続可能であるかどうか考えてみてください。ほとんどの生命体が実行しているようなものに倣った新しいニッチを、どのように定義できるでしょうか?

「良い暮らし」を定義することを考えてください。惨めな暮らしや貧しい暮らしではありません。もしも私たちが理想的に持続可能な暮らしをしたなら、私たちのニッチはどのようなものになりますか?新しいニッチにおいて、あなたは何を見て、聞いて、匂いをかいで、触りますか?あなたの一日はどんな様子ですか?」

「持続可能な学校という環境でのあなたのPEP図を描いてください。PEPの人体の周りにメモを書いてください。」

生徒たちが作業を終えたら、書いたものを発表してくれるように頼みます。

「1組のみなさん、動きと循環の項に何を書きましたか?二つ挙げてください。5組のみなさん、雰囲気には何を書きましたか?6組のみなさん、どんな音が聞こえましたか?」

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(イラスト)
by ammolitering3 | 2010-06-21 04:17
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